fantasista
ゲームはどんどん進んでいき、後半戦に入る。
お互い無得点のままだ。
雨と汗で全身びっしょりの戸崎が映り、やっぱりときめいてしまう。
頰が緩んでしまう。
そして、高揚しながら祈っていた。
戸崎が満足するプレーが出来ますように。
戸崎が笑っていられますように。
それなのに……
ボールを追って駆ける戸崎と、相手の選手の足が絡まった。
そして、その身体が大きく吹っ飛んだ。
一瞬の出来事だった。
祈る暇も、叫ぶ暇もなかった。
画面が切り替わり、無様に横たわり足を気にする戸崎が映る。
その隣で、相手の選手も倒れていた。