fantasista
「なあ、山形……」
戸崎の顔を見ることが出来ない。
涙が溢れてしまいそうだから。
そんな時……
「わー!あそこに座ってるの、アスールの戸崎柊だよ!」
「握手してくれるかなぁ!!」
なんて周りが騒ぎ出して。
彼の人気さが伺えた。
戸崎はかっこいいだけではない。
そのサッカーセンスは天才的なものがあって、今はアスール東京に所属する、エースストライカーだ。
戸崎がアスールに入ってから、あたしはサッカーを観るのをやめた。
輝いている戸崎を見るのが辛かったから。
あたしはオトコオンナのままなのに、戸崎はどんどん遠い人になっていった。