fantasista




戸崎は口角を上げたまま、机の上のミネラルウォーターと小さな袋を指差す。





「まだ足が痛むんだよな。

薬飲まねぇと」



「それ、あたしに取れってこと?」




可愛くない返事をしながら、水と薬袋を戸崎に差し出したが……





「飲ませろよ」




戸崎は言う。




……はぁ?

飲ませろ?

あたしはあんたの召使いじゃない!




そう言いそうになったあたしの手を、戸崎はぎゅっと掴む。

そのまま頑強な身体に抱き寄せられ……

奴は耳元で甘く囁く。





「口移しで飲ませて欲しい」


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