fantasista
GAME.8 インピード
戸崎の怪我は、順調に回復に向かっていた。
まだ走ることは出来ないようだが、歩けるようにはなって。
ほっとすると同時に、やっかいでもあった。
「あんた、絶対迎えに来ないでよ」
念を押すあたしに、
「仕方ねぇな。
それなら絶対家に来いよ」
戸崎は嫌そうに言う。
こんな調子であたしは毎日仕事後に戸崎の家に通った。
戸崎に会えるのはすごく嬉しい。
五年間、戸崎がいなくて生活出来たなと思うほど、戸崎はあたしの生活の一部分になりつつあった。