fantasista
「山形」
急に名前を呼ばれ、びくりと飛び上がった。
泣きそうな顔で振り返ると、そこには久しぶりに会う人物が立っていた。
同じサッカー部だった、竹中君だ。
彼は泣きそうなあたしを見て驚いた顔をする。
そして、物陰からちらりと廊下を見て口を噤んだ。
「ぐっ……偶然見ちゃって。
あたし、相変わらず嫌な女だよね」
自虐的に言うあたしに、
「俺は山形がすごいと思うよ」
竹中君は静かに告げた。
「ちょっと場所移動しようか」
そして、竹中君はあたしを店の外に連れていった。