fantasista





竹中君の言う通りかもしれない。

今のあたしは、戸崎の過去に執着しすぎている。

調子に乗っている戸崎を、ぎゃふんと言わせてやりたい。




だけど……





「ごめん……出来ない」




あたしは竹中君に告げる。




「あたしには、戸崎を裏切ることなんて……」



そう言いかけたあたしに、



「山形!どこ行ってんだよ!!」



心配そうに歩み寄る戸崎。

その戸崎の頰を、力いっぱい張り飛ばしていた。

パシンと乾いた音が鳴り、頰を押さえて俯く戸崎。

そんな戸崎を睨み、告げていた。





「やっぱりあんたなんて大嫌い」






最低だ。

あたし、何してるんだろう。



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