fantasista
GAME.9 オウンゴール









「あたし……どうしたらいいんでしょう」




あたしは舞さんに告げる。




「最近は諦めたのか、連絡も来ないです。

待ち伏せもされていないし、本当に終わりかもしれないです」




その言葉を吐き出すと、胸がきゅーっと痛んだ。

そして、頭の中を戸崎の記憶が駆け巡る。






五年ぶりに戸崎に会ったあの日。

甘い甘いキス。

戸崎の華麗なシュートに、優しげな笑顔。

その全部が大好きだったことに気付く。

昔のことなんて水に流すことが出来たら、どんなに楽だろう。

今の戸崎だけを見ることが出来るのなら。

だって、戸崎は本当に変わったから。

ウザくて自信過剰なのは変わらないけど、あたしだけを大切にしてくれたから。



< 172 / 244 >

この作品をシェア

pagetop