fantasista
「ごめん……」
謝っても済むはずがない。
それでも、謝らずにいられない。
「ごめん……あたし……竹中君と……」
「大丈夫だ」
戸崎は再び優しく言って……
あたしに優しく唇を重ねる。
甘く切なく、びっくりするくらい優しいキス。
胸が悲鳴を上げ、ズキズキと痛む。
やっぱり戸崎が好きだ。
あたしには戸崎しかいない。
ずっと分かっていたのに、あたしは戸崎を裏切った。
唇を離し、戸崎は笑顔であたしを見る。
その優しげに細められた瞳はどこか寂しげで……
戸崎を見ていられなくて……
迷惑だと分かっているのに、声を上げて泣いたんだ。