fantasista
退社時間になり、オフィスを出るあたし。
目の腫れは、まだ完全には引いていなくて。
戸崎の家に行くのも気がひける。
戸崎を傷つけておきながら、のこのこと戸崎の家に行くことなんて出来なくて、今日は自分の家にまっすぐ帰ることにした。
そんなあたしに、
「なぁ、デートしねぇ?」
大好きな声が聞こえる。
振り返った先には、あたしの大好きな戸崎がいて。
ビルにもたれかかり、腕を組んであたしを見ていた。
そんな戸崎を見て、また涙が溢れてくる。
だけどそれを必死に我慢した。