fantasista
明るい朝の光で目を覚ました。
いつもと違う布団の感触に、いつもと違う天井。
そして、いつもと違う香りに……
あたしに触れるこの手……
この手!?
目を見開くと、隣には戸崎がいて。
頬杖をついてあたしを見ていた。
最近よく見る、その甘くて優しい瞳で。
「あの……」
必死に記憶を辿る。
昨日は戸崎とデートして、戸崎の家に来て……やっちゃった。
とうとうやってしまったのだ。
真っ赤になって俯くあたしに、
「やっぱりお前、可愛いな」
戸崎は笑顔であたしの髪を撫でる。
少し安心した。
昨日の狂おしいほど切なくて甘い戸崎ではなかったから。
いつもの優しい戸崎だったから。