fantasista




あたしは馬鹿だ。

戸崎の大切な試合の前に、戸崎の貴重な睡眠時間を削らせてしまって。

戸崎は前回寝不足で負傷したのに。

そして、最近不調続きの戸崎。

今日の試合も不調なら、実戦で使ってもらえなくなるかもしれないとのこと。





「大丈夫だ」




戸崎はあたしの髪を撫でたまま、静かに告げる。




「むしろ、絶好調だ。

俺には山形がついているから」




そんな戸崎に笑顔で頷く。




「今日の試合、絶対に挽回してやる。

楽しみにしてろよ」





戸崎に身を寄せ、その温もりを感じ、これ以上ない幸せを感じていた。






あたしの存在が力になる。

それがすごく嬉しい。




「頑張ってね」




笑顔で言うあたしに、戸崎は甘い甘いキスをくれた。


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