fantasista






戸崎の前にはがっしり構えたゴールキーパーがいて……

彼が放ったシュートは予想外のカーブを描き、ネットを力強く揺らした。




彼から目が離せなかった。

こうもあたしをドキドキさせて、きゅんきゅんさせて、頰を綻ばせることごできる人は戸崎しかいない。

嬉しそうにピッチを走り、仲間の背中に飛び乗る戸崎を見て、あたしも笑っていた。






サッカーをする楽しげな姿はあの頃から変わらない。

でも、五年ぶりに会った彼は大人になって、体格も変わって、日焼けして黒くなっていて。

そして、あたしだけを大切にしてくれる、甘くて優しい人になっていた。

そんな戸崎が大好き。

あの頃よりも、ずっとずっと。



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