fantasista









「ねぇ、ホテルに来てまでそれはないでしょ?

みどりちゃん、男を馬鹿にしてるの?」



「……ごめんなさい」




震える声で彼に告げる。




「ごめんなさい……

やっぱり駄目だった。

あんたみたいなキモい男、やっぱり駄目だった」




あたしはそう言って、鞄を持って立ち上がる。

そして、ホテルの部屋を飛び出していた。






最近のあたしはいつもこれだ。

処女だということに引け目を感じて、早く処女を捨てようと奮闘していた。

だけど、いざという時に怖くなって。

結局、男性を怒らせて逃げてしまうのだ。







足早に階段を駆け下り、ホテルから出る。

後ろを見て、男性が追いかけてこないことを確認する。

そしてやっと安心するとともに、ため息が出てしまった。





今日も駄目だった。

彼氏も出来ないし、処女のままだ。



< 3 / 244 >

この作品をシェア

pagetop