fantasista
「ねぇ、ホテルに来てまでそれはないでしょ?
みどりちゃん、男を馬鹿にしてるの?」
「……ごめんなさい」
震える声で彼に告げる。
「ごめんなさい……
やっぱり駄目だった。
あんたみたいなキモい男、やっぱり駄目だった」
あたしはそう言って、鞄を持って立ち上がる。
そして、ホテルの部屋を飛び出していた。
最近のあたしはいつもこれだ。
処女だということに引け目を感じて、早く処女を捨てようと奮闘していた。
だけど、いざという時に怖くなって。
結局、男性を怒らせて逃げてしまうのだ。
足早に階段を駆け下り、ホテルから出る。
後ろを見て、男性が追いかけてこないことを確認する。
そしてやっと安心するとともに、ため息が出てしまった。
今日も駄目だった。
彼氏も出来ないし、処女のままだ。