fantasista
「はい……」
震える声で電話に出る。
携帯の向こうは、何だかガヤガヤしていて。
その雑音の中で……
あたしの大好きなその声が聞こえた。
「……山形か?」
彼はあたしを呼ぶ。
少し低くて心地よいその声。
その声とは言い合いばかりしていたけど、胸の中ではいつもときめいていた。
大好きだって思っていた。
その声で名前を呼ばれると、やっぱり身体が痺れてしまって。
胸の奥がじんわり熱くなって。
「戸崎……」
大好きな彼を呼ぶ。