fantasista
一瞬の沈黙の後、
「マジで山形か?
お前、どこで何してるんだ?」
相変わらずの戸崎口調で奴が言う。
予想はしていたけど、戸崎はあたしの電話なんかにドキドキしない。
昔からそうだった。
付き合っているとは名ばかりで、あたしをからかって笑っていた。
ドキドキするのはあたしだけ。
だからあたしも、必死に自分の気持ちを隠していた。
「あんたには関係ないでしょ?」
わざと可愛くない言葉を吐くあたし。
こんなあたしに罪悪感すら感じる。