fantasista
「じゃあね、切るよ」
そう言ったあたしに、
「待て!
お前はこのファンタジスタ戸崎を軽くあしらうのか」
馬鹿なことを言い始めた戸崎。
それにしてもファンタジスタ戸崎だなんて悪趣味だ。
確か……高校の時、そう呼ばれていた。
色んな意味でファンタジスタだったから。
そんな戸崎の言葉に、思わず笑っていた。
久しぶりの、心の底からの笑いだった。
不思議だな、戸崎といた時はいつもこうやって笑っていた。
冗談を言いあって笑っていたんだ。
「今、仕事終わったの。
今から帰るから……」
「じゃあ、迎えに行くから。
今日こそは絶対逃がさねぇよ!」