fantasista
惨めなあたしは、ふと顔を上げた。
商店街に貼ってあるポスター。
その一つに目がいく。
『アスール東京』というクラブ名の下に……
大好きだった彼がいた。
あたしの記憶とは少し違って大人になった彼。
茶色い短い髪に、アーモンド型の大きな瞳。
サッカーボールを持って、青いユニフォームを着て、あたしを見て笑っている。
彼が大好きだった。
彼はあたしを大切にしてくれたのに……
なんで不安になったんだろう。
なんで逃げ出したんだろう。