fantasista
「あの……」
ここは、本当のことを言うべきか。
それとも嘘をつくべきか。
嘘をついて逃げることも出来るかもしれない。
でも……
戸崎があまりにもまっすぐぶつかってくるから、嘘をつくことなんて出来なかった。
その瞳を見たら、自然と口から言葉が溢れていたんだ。
「戸崎はモテるから」
戸崎は黙ってあたしを見る。
その沈黙がなんだか不気味だ。
昔だったら、
「当たり前だろ。
俺様カッコイイから」
なんて豪語していたのに。
そんな戸崎に、あたしは続けていた。