fantasista
「戸崎がプロ入りして、ますますモテるから。
戸崎ってチャラいし、女の子取っ替え引っ替えだったし。
そのうち可愛い娘が現れて、あたしなんて捨てられると思ったから」
我ながら、なんていう理由なんだろう。
だけど……
有名になっていく戸崎が怖かった。
あたしの頭の中には、あの光景が悪夢のように染み付いている。
「お前、相変わらず馬鹿な女だな」
戸崎は低く呟き、嘲笑うかのような笑みを浮かべる。
「馬鹿な戸崎に言われたくない」
「俺様が馬鹿だと?」
「うん、あんたなんて大馬鹿だよ」
そう言いながら、馬鹿はあたしだと思った。
こうやって戸崎と話しているうちにも、身体を熱くし鼓動を速くしている。
戸崎に胸を焦がしているんだ。