fantasista
「マジでムカつく」
あたしは小さく呟いた。
「あんたよりいい男になんて、出会えないよ」
アルコールのせいもあるのだろうか。
溢れ出る涙を、必死で我慢した。
「戸崎のバーーーーカ!!」
足元にあった空き缶を蹴った。
空き缶は華麗な円を描き、宙を舞う。
それを見て、不覚にも彼のシュートを思い出した。
青い空の下スパッと空気を切り裂くようなその鋭いシュートに、あたしは酔っていたんだ。