fantasista
ぼーっとする頭を必死に働かせる。
これ、やばいんじゃない?と警告を出す。
そんなあたしに、さらなる戸崎の言葉が降りかかる。
「信じさせてやる。
俺がどれほど山形に惚れているかって」
戸崎なのに。
馬鹿の戸崎なのに。
その声は初めて聞く声だった。
確かに戸崎の声なんだけど、いつもより甘くて優しくて、そして胸をきゅんと破壊する。
「覚悟してろよ。
お前の勝手な妄想で、忘れてなんかやらねぇから」
馬鹿なこと言わないで。
忘れられなかったのは、あたしなのに。