fantasista
いつも通り……
本当に昔のままだった。
でも、それで良かったのかもしれない。
戸崎に抱きしめられた時、心臓が止まるかと思った。
あたし、おかしくなるのではないかと思った。
戸崎の前で乙女のマネなんて、死んでも出来ない。
「あの……
今から思い返せば、あの一年半は付き合っていたと言えるのでしょうか?」
まるで自分に聞くかのように言葉を発したあたしに、舞さんは笑いかける。
「でも、みどりちゃんは大好きだったんでしょ?」
大好きだった。
今も忘れられないほど、本気で惚れていた。
だから昨日、戸崎の言葉を聞いた時、すごく嬉しかった。
戸崎が初めて……
惚れているなんて言ってくれたから。