fantasista





「五年も経ってお互い大人になって、きっと価値観も変わっているよ。

それでもお互いに好きだったって、すごいじゃない」





舞さんの言葉が素直に嬉しい。




……そうだよね、もっと自信持たなきゃ!






「ありがとうございます!」




舞さんに笑顔でお礼を告げた時……




「マジか。山形、とうとう処女卒業か」




大迫さんが余計なことを吐く。




「あ。でもその彼氏、一年半何もしなかったんだろ?

今回も何もないんじゃね?」




そんな意地悪大迫さんに、




「あんたは黙ってて!」




舞さんは怒ってくれたけど……





大迫さんの言うことはもっともだ。

戸崎はあたしに愛情表現なんてほとんどしなかったから。




だけど……

あの、悪夢のような光景が思い浮かぶ。

戸崎が大好きだけど、あの光景は今だにあたしを苦しめるんだ。



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