fantasista
は?何言ってんの?
あんた、ギャグ?
そんな言葉、出てこなかった。
ただひたすら身体が熱くて、鼓動が早くて。
抱かれるのが怖いのに、身体は言うことを聞かなかった。
黙って手を繋いで歩く。
戸崎を見上げると、その綺麗な顔で嬉しそうに笑った。
戸崎のくせに、なんて笑顔するの?
戸崎のくせに、なんでそんなに甘いの?
戸崎のくせに、憎まれ口を叩くことだって出来ないよ。
あたし……こんなにも戸崎が好きなんだ。
五年も経つのに、その思いは大きくなる一方だったんだ。
公園の横にある、落ち着いたホテル。
あたしたちは手を繋いだまま、その扉を潜った……