fantasista
「ナイスシュートだったな」
彼は立ち上がり、空き缶をゴミ箱に捨てる。
カランと金属が触れ合ういい音がした。
そのまま彼はあたしを見て……
心臓が止まりそうになった。
「バーーーーカとはなんだ。
バーーーーカとは!」
あたしを見る彼は、ポスターの彼と同じだった。
背が高く、茶色い短い髪を立てていて。
アーモンド型の瞳を細くして、懐かしそうにあたしを見る。
あたしの大好きだったその笑顔に、またまた胸がときめいた。
身体が一気に熱を持つ。
いつぶりだろう、こんなにも全身で焦がれるなんて。
「久しぶり、山形」
止まっていた時間が動き出した。
まるで、あの頃に戻ったように。
あたしたちの間には五年の時が流れたが、戸崎を思う気持ちは変わらなかった。