fantasista
「……ごめん」
あたしの声は震えていた。
必死に溢れそうな涙を我慢する。
「ごめん……あたし……実はまだ初めてで……」
「……は?」
戸崎は上体を起こしてあたしを見た。
そのまっすぐな瞳を見ることが出来なくて。
あたしはそっぽを向く。
戸崎、引くだろうな。
もうすぐ二十四になるっていうのに、処女のままだなんて。
だって戸崎は……
考えちゃいけない、考えちゃいけないんだ!
「でも山形、この前の合コン男と……」
「してないよ。……出来ないよ」
苦し紛れに吐き出す。
「そういう状況になると、あの光景が浮かんで邪魔をするんだよ」