fantasista
「まずさ……あの男とはやったのか?」
「はぁ!?」
「一緒にホテル入ってった奴。
あいつとはやったのか?」
痛いほどの視線を感じ、戸崎を見ることが出来ない。
見たら、この思いが溢れてしまうから。
忘れるために戸崎から離れたのに、あたしの気持ちが戻ってしまうから。
「……やった」
そう言ったあたしの声は震えていた。
何嘘ついてるんだろう。
嘘をついたところでどうなるんだろう。
きっと、戸崎には痛くも痒くもない。
だって戸崎は、恐ろしく経験豊富だったから。