fantasista




アスール東京と聞いて、飛び上がりそうになった。

舞さんがコアなファンなことは知っていたけど……スポーツバーで戸崎を見るなんて、緊張してしまう。

いや、戸崎を見ること自体緊張する。

だって、色々思い出してしまうから。

あの声、あの温もり、あの唇……

その全てがあたしを狂わせて止まない。






「それならあたし……今日はやめときます」



舞さんにそう告げた時、



「山形、行こうぜ!」



大迫さんに誘われた。




「どうせ暇なんだろ?

みんなでアスール応援しようぜ!」





そんなことを言われると断れなくなってしまう。

誰にも悟られないように平静を装いつつ、あたしの鼓動は高鳴り続けていた。



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