好きだから……
あたしが飛び起きると、ベッドに座ってスマホに耳をあてていた圭ちゃんの顔が動いた。
無言で圭ちゃんが、あたしの肩に手を置くと、『寝ていろ』と顎をくいっと動かした。
『本田に負けたのよ!! こんな結果……。圭一に勉強を見てもらったのに、また3位だったなんて。結果が出せてないなんて』
スマホから相手の声を漏れて、聞こえてくる。
青田さんだ。
圭ちゃんと青田さん、電話をしあうような仲なんだね。
勉強も教えてあげてたなんて。
「青田の夢はなんだ? 弁護士になることであって、試験の順位でイチイチ立ち止まってる場合じゃないだろ。むしろ試験よりも、模試結果が志望校圏内かどうか、だけでいいだろ」
『どうして……圭一は……。圭一は、一位だからそう言えるのよ』
「俺は何位であろうとも、順位なんて気にしない」
『圭一はどうして強いの。順位なんて気にしないってさらりと言えるの? 私はいつも、順位ばかり気になんて……だからつい、土屋さんに……あ。何でもない。ごめ、なんでも……』
スマホから嗚咽が聞こえてくる。
青田さんが泣いてるんだ。
あたしはこの場にいるのが忍びなくて、ベッドを出ようと体を動かすと、圭ちゃんに手首を掴まれた。
え? 圭ちゃん?
手首をつかんだ圭ちゃんの手がスルリと動いて、恋人つなぎと言われる指の絡め方で手をつないだ。
電話中なのに、圭ちゃん……どうして?
「3バカトリオに八つ当たりして、気がすんだのか?」
『え?』
「どうせ、土屋以外にも松平にも八つ当たりしたんだろ? 幼馴染だからって何してもいいってわけじゃない」
『なんでも、ソツなくこなせる圭一にはわからない。私の苦しみなんて……』
「ああ、わからない。分かり合いたいとも思わない。俺から言えるのは、未来を見ろ。順位は過去のモノだ。じゃあな」と、圭ちゃんが電話を終わりにして、枕のほうにスマホを投げた。
圭ちゃんが、繋いだままの手を持ち上げると、あたしの手の甲にチュッとキスを落とした。
無言で圭ちゃんが、あたしの肩に手を置くと、『寝ていろ』と顎をくいっと動かした。
『本田に負けたのよ!! こんな結果……。圭一に勉強を見てもらったのに、また3位だったなんて。結果が出せてないなんて』
スマホから相手の声を漏れて、聞こえてくる。
青田さんだ。
圭ちゃんと青田さん、電話をしあうような仲なんだね。
勉強も教えてあげてたなんて。
「青田の夢はなんだ? 弁護士になることであって、試験の順位でイチイチ立ち止まってる場合じゃないだろ。むしろ試験よりも、模試結果が志望校圏内かどうか、だけでいいだろ」
『どうして……圭一は……。圭一は、一位だからそう言えるのよ』
「俺は何位であろうとも、順位なんて気にしない」
『圭一はどうして強いの。順位なんて気にしないってさらりと言えるの? 私はいつも、順位ばかり気になんて……だからつい、土屋さんに……あ。何でもない。ごめ、なんでも……』
スマホから嗚咽が聞こえてくる。
青田さんが泣いてるんだ。
あたしはこの場にいるのが忍びなくて、ベッドを出ようと体を動かすと、圭ちゃんに手首を掴まれた。
え? 圭ちゃん?
手首をつかんだ圭ちゃんの手がスルリと動いて、恋人つなぎと言われる指の絡め方で手をつないだ。
電話中なのに、圭ちゃん……どうして?
「3バカトリオに八つ当たりして、気がすんだのか?」
『え?』
「どうせ、土屋以外にも松平にも八つ当たりしたんだろ? 幼馴染だからって何してもいいってわけじゃない」
『なんでも、ソツなくこなせる圭一にはわからない。私の苦しみなんて……』
「ああ、わからない。分かり合いたいとも思わない。俺から言えるのは、未来を見ろ。順位は過去のモノだ。じゃあな」と、圭ちゃんが電話を終わりにして、枕のほうにスマホを投げた。
圭ちゃんが、繋いだままの手を持ち上げると、あたしの手の甲にチュッとキスを落とした。