好きだから……
「で? なんて言われた?」と圭ちゃんが、あたしを見てきた。
「何を?」
「電話の内容、聞こえてたろ。青田に何を言われたんだ?」
「なんだっけ? なんか色々と」
「絢、惚けても……」
「違う! ほんとにいろんなことを一気に言われたから。でも、負けたくないなって」
「絢が? 青田に?」
「あー、勉強じゃないよ! 勉強じゃ勝てないってわかってるから。あ……見た目も勝てないけど」
 
 あたしはつい、自分のぺたんこの胸に目をやってしまう。

「じゃ、何に勝つんだ?」
「なんだろ?」とあたしは苦笑して首を傾げた。

「絢」と低い声で、圭ちゃんが名前を呼ぶ。
「か……勝てないけど。負けたくないって思っちゃったんだもん。色々……ていうかほぼ、青田さんには負けてるけど」
 あたしは、体を縮ませた。

「だから、無理をしたのか。理解をした」
「え!?」
「いつもなら、もうダメだって限界のときに口にするだろ。今日はそれが無かったから、不思議だった。限界をとうに超えてるのに、必死に耐えて」
「あ、いや、それは……その」

 あたしは、ごにょごにょと言い訳を口の中で呟いた。

「青田が俺に好意を抱いているのは知ってる。告白もされた」
「え、ええ!? こ、告白された?」
「去年のクリスマス前に」
「え? じゃあ、付き合って……」
「るわけねえだろ! バカか」
「馬鹿だもん。最下位だもん」

 あたしは頬を膨らせる。

 青田さんって、積極的だ。
 すでに、圭ちゃんに告白していたなんて。
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