好きだから……
―圭一side-

 これで、河原と松平への牽制球は出来たな。
 あいつら、気軽に、絢に近づきすぎだ。

「ちょ……ちょっと、なに、今の!?」と、青田が目を吊り上げて聞いてきた。

「べつに。聞いた通りだ」
「意味がわかんない」
「わからなくていい。教える気もねえし」

 本田がクスクスと笑い出した。
「美島の本領発揮ってところか。勉強に興味のないヤツだと思ったけど、まさかあの子だとは」

 本田には、俺の本質を見破られているようだ。
 
「は? ちょっと二人で勝手に納得しないでよ」
「君がどんなに頑張っても、あの子には勝てないってだけ。それが事実」
 残念、と本田が付け加えて2-Aの教室に入っていった。

「はあ?」と納得いかない声を青田があげた。

―圭一side-終わり
< 22 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop