好きだから……
「要(かなめ)、もういい、やめて」
 俺は、みどりに胸を押されて距離を開けられた。

 愛撫の途中で、俺は突き放される。

「期末試験2位おめでと」
「うれしくない。アレは本田が手を抜いたから。不本意な2位よ」

 みどりはベッドから出ると、フリルのついたワンピースを身にまとった。

「それに、要が本気を出せば、私は学年4位。どんなに頑張っても、勝てないのよ。あんたたちには……」と、みどりがキッと俺を睨んだ。

「俺、3バカトリオの一人だけど? 結果発表見ただろ? 今回は、絢が抜けたから俺が最下位だ」
「嘘つき」
「は?」
「真面目に試験を受ければ、ベスト3には入れる頭脳のくせに。どうせ、私が機嫌悪くなるから、手を抜いてるんでしょ」

 ま、それもあるけど。
 それだけじゃない。

「手は抜いてないよ。マジで、あれが俺の実力。ま、おかげで千里と絢と知り合えたから、ありがたいけどな。あいつら、ほんと天然すぎて、面白い」

 俺は二人のことを思い出して、くくくっと喉の奥から笑った。

「悪かったわね、私は面白みのない人間よ」
「みどりは、面白いっていうより危なっかしい。いつもギリギリの崖の上に立っているみたいで。いつ落ちてきてもいいように、両手を広げてないと安心できない」

 俺の言葉に満足いかなかったようだ。みどりが、不機嫌きわまりない表情で、そっぽを向いた。

 相変わらずだよな。
 自分が理想としている姿と、まわりから見られてる姿が一致しないと、すぐに機嫌を損ねる。

 そういうとこが、危なっかしいんだよ。って言ったところで、睨まれて終わるけどな。
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