好きだから……
「みどり、夏休みはどこの夏季講習に行くんだ?」
「駅前の塾だけど。要も通うの?」
「いや。俺は進学を考えてないから」
「え? 初耳なんだけど」
「ああ、初めて言ったからな」
「なんで?」
みどりが、ベッドに座って俺を見てきた。
ベッドに横になってる俺は、「ん~」と唸った。
「要は、私なんかよりT大に行ける人間じゃない。どうして大学に行かないの!?」
「行く必要ねえし。美香の学費とか考えるとなあ~。親の遺産だけじゃ、ちょっと」
みどりが目を伏せて、なんとも言えない表情になる。
俺の両親は事故で、2年前に亡くなってる。
今は親戚の人に保証人になってもらって、妹と二人暮らしをしている。
両親が残してくれた大金とは言えない遺産と、俺の収入でなんとか生活が成り立ってる状態だ。
みどりとは幼馴染だが、それは親が生きていたときまで。
今は住んでる場所が違う。
みどりが学校と家と、息苦しさを感じてどうしようもなくなったときだけ、俺たちには接点ができる。
体だけのつながり。
みどりが、美島を好きなのを俺は知ってる。
去年のクリスマス前に告白して、振られたことも聞いてる。
一晩中の俺のアパートで泣いてたから。
そこから俺たちの関係は崩れたのかもしれない。
泣いてるみどりを、どう慰めていいのかわからなかった俺は、体の関係を保つことで、今のみどりを支えてる。
父親母親ともに弁護士で、みどりの兄も弁護士志望で大学に通ってる。
そういう家だから、みどりも弁護士をめざすことを余儀なくされてるし、優秀であることも求められてる。
なのに、入学した高校には本田と美島の強敵ライバルがいて。
みどりはさぞ、息苦しい人生になっているんだろうな、と俺は思う。
「駅前の塾だけど。要も通うの?」
「いや。俺は進学を考えてないから」
「え? 初耳なんだけど」
「ああ、初めて言ったからな」
「なんで?」
みどりが、ベッドに座って俺を見てきた。
ベッドに横になってる俺は、「ん~」と唸った。
「要は、私なんかよりT大に行ける人間じゃない。どうして大学に行かないの!?」
「行く必要ねえし。美香の学費とか考えるとなあ~。親の遺産だけじゃ、ちょっと」
みどりが目を伏せて、なんとも言えない表情になる。
俺の両親は事故で、2年前に亡くなってる。
今は親戚の人に保証人になってもらって、妹と二人暮らしをしている。
両親が残してくれた大金とは言えない遺産と、俺の収入でなんとか生活が成り立ってる状態だ。
みどりとは幼馴染だが、それは親が生きていたときまで。
今は住んでる場所が違う。
みどりが学校と家と、息苦しさを感じてどうしようもなくなったときだけ、俺たちには接点ができる。
体だけのつながり。
みどりが、美島を好きなのを俺は知ってる。
去年のクリスマス前に告白して、振られたことも聞いてる。
一晩中の俺のアパートで泣いてたから。
そこから俺たちの関係は崩れたのかもしれない。
泣いてるみどりを、どう慰めていいのかわからなかった俺は、体の関係を保つことで、今のみどりを支えてる。
父親母親ともに弁護士で、みどりの兄も弁護士志望で大学に通ってる。
そういう家だから、みどりも弁護士をめざすことを余儀なくされてるし、優秀であることも求められてる。
なのに、入学した高校には本田と美島の強敵ライバルがいて。
みどりはさぞ、息苦しい人生になっているんだろうな、と俺は思う。