僕らの異世界、キミノセカイ
周りの建物や森が燃えていく中、僕はひたすら歩いた。
どれだけ歩いただろうか。気が付くと大人たちの、いや人の声もなにもかも聞こえなくなっていた。
さっきまで聞こえていた悲鳴はどこへやら。
まるで最初から何もなかったかのような静けさだ。

「久しぶり」

僕は何もない虚空に声をかけた。
僕が立っている場所、それは一見したらただの洞窟のような場所だ。
大人からすれば「子供の隠れ家」みたいな場所だろう。

「ねえ大変なんだよ。島が崩壊していってる。こんなこと君が望んだことか」

僕は一歩ずつ前に進みながら喋り続ける。

「君が望んだ島に、世界に戻しておくれよ」

あと一歩。
僕は歩くのをやめて虚空を見つめる。

するとさっきまでなにもなかった虚空に大きな氷の柱が現れた。
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