溺愛CEOといきなり新婚生活!?
愛する彼のため
塩茹でされた空豆をつまむ間、黙って彼の様子を見つめる。
「頼むから、引き受けてくれない?」
「内容をちゃんと教えてください」
両手を合わせて頼みごとをしてくる彼に、私は困った表情を向ける。
ここのところ予定が合わず、二週間ぶりにやっとデートができたのに、頼みごとをされるとは思ってもいなかったから、どう反応していいのかわからない。
愛する彼の頼みごとはできたら叶えてあげたいとは思う。だけど、どんなことなのかわからないままじゃ、願いはのめなくて……。
「引き受けてくれれば話す」
「……無理です」
「そこをなんとか」
食い下がる目の前の彼は、私の彼氏である小泉雅哉。
彼は三十六歳の若さで大手広告代理店『鳳凰堂』の専務になった、いわゆるエリートだ。
ちなみに、私の勤務先も鳳凰堂にはお世話になっていて、彼は会社の役員ともともと仲がいいらしい。雅哉さんはとても紳士的で、何をするにもスマート。こうして頼みごとをしてくる間でさえ、佇まいがいい。
私が先月プレゼントした青と白のクレリックシャツは、少しだけ褐色に焼けている肌によく似合う。
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