溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「俺はね、そもそも雇われたくなかったんだ。だから起業して、やりたい仕事をしようと思った。入社してこんなはずじゃなかったとか、会社のルールに縛られて時間を費やすのが嫌だと思ってね。……俺の場合は、だけど」

 頷いて話を聞く私に、彼は弧を描いた唇で笑みを作り、話を続けている。


「ブライダル業界は、誰もが意識する“結婚”っていうものに直接携わる仕事。人生の大切な瞬間っていくつかあって、そのひとつに彩りを添えられる幸せな仕事だと思ったんだ。花澄が言った通り、人を笑顔にする仕事っていいなぁって、俺もそう思ったんだよ」
「素敵ですよね、結婚式……」
「花澄は結婚したいんだもんな」

 笑顔で返事をすれば、永井さんは切なそうに微笑んだ。


「……ダメですかね、やっぱり」
「何が?」

 永井さんの表情を見て、しゅんとする。そんな切なそうにされると、やっぱり結婚願望が強い女は重たいと思われるのかと思ったのだ。


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