溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「九条さんが大変なので、こういったこともしないでください」
「分かってないなぁ、相変わらず」
お疲れさまと労いの言葉を交わすことなく、私は永井さんに言った。
スーツベスト姿の永井さんは、両肘をデスクについて私を見つめている。
「九条にとっては、これも仕事のうち。俺の元で働くのが嫌なら、とっくに辞めていると思うよ」
「じゃあ、私は? 一日働いて、残業もして疲れていて、すぐにでも帰りたいのに」
アプリのメッセージ機能で、仕事が終わりそうな時間や夕食を食べるかどうかなど、同棲している上で必要なやりとりをするのは理解できる。
だけど、それを逆手にとって退社時間に合わせて九条さんが迎えに来ているのは、毎回驚かされるのだ。