溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「忘れられそうにないです……」
「うん、そうだと思う」

 永井さんの言葉に返事をすると、肯定が返ってきた。


「この生活が終わったら、一緒に暮らそうって言ってくれてて」
「うん」
「大切な話があるって言ってくれてたから、期待しちゃってて」
「そっか」

 俯いたまま両手で缶ビールを持つ私の肩にそっと触れ、永井さんはソファへと足を向ける。
 ゆっくりと腰を下ろしたら、やっと息をついた気がして、背中を撫でてくれる永井さんの温もりに涙が止まらなくなった。


「行きたいって言ってたお店に予約までしてくれてたから、きっとそういう話だって思っちゃって」
「うん」

 相槌だけを返し、ひたすら話を聞いてくれる彼はどんな気持ちだろう。
 本当に私を想ってくれているとしたら、複雑なんじゃないかな……。


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