溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「ごめんなさい。こんな日に限って甘えて……私こそ狡いですよね」
サッと離れて、ひとり分の間を置くと、永井さんの手は戻っていく。
それと共に温もりも少しずつ消えて、ひとりぼっちになったんだって思い知った。
これから先、ずっと雅哉さんと生きていくって思ってたんだもんなぁ。
彼がいない未来を考えたことなんてなかった。
「狡くなんてないよ。甘えてくれないと、俺が格好悪いでしょ?」
「永井さんは、格好いいです」
「そうかな」
「はい」
数分ぶりにちらりと彼を見遣ると、照れたような表情で缶ビールを傾けていた。
「さっきも……お姫様を守る騎士みたいな登場の仕方で」
「あははは、随分とロマンチックだね」
「笑わないでください。これでもちょっと、きゅんとしたんですから」