溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 一時間後、ようやく終わったと思ったら、次は二次会に誘われてしまい、断れずに流されるまま参加してしまっている。バーが入っているビルの入口でエレベーターを待っている間、気後れして一歩足を引いた。


「おっと」
「あっ、ごめんなさい」
「いえいえ」

 後ろに立っていた永井さんにぶつかってしまい、見上げながら謝ると微笑みが返ってきた。
 どの角度から見ても、整った顔立ちに隙はない。
 毎日のように見ているはずなのに……最近ふとした瞬間にドキッと胸の奥が跳ねる時があるんだ。


「抜け出しちゃおっか? 早くふたりきりになりたい」

 一緒に並んでいる仲間の目を盗んで、彼がゆっくり私の耳元に顔を近づけて囁いた。
 金曜の夜、街は賑やかだ。酔っ払いだらけでやたらうるさいし、だらしなくなった女性の姿は見るに堪えない。
 永井さんと私がこっそりいなくなっても、エレベーターを待っている仲間は誰ひとりとして気づかない様子だった。


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