溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「上遠野さんは、ひとり暮らし?」
「はい。ですので、このサンプリングマリッジには支障なく参加できますが……実は、お付き合いしている彼がいるんです。それで、仕事のつながりがある企業が主催しているらしくて……応募者が足りてないから助けてほしいって言われたんです。彼の人のよさにもちょっと困りものなんですけど」
そっか、と永井さんは相槌を打つと、ジャスミンティーをひと口含み喉に通した。
何でもないその仕草が色っぽくて、思わず見惚れてしまいそうになって、私は慌てて視線をそらした。
「俺がここにいるのは、次の新居に引っ越すまでの間を埋めるための仮住まいが必要だったからです」
「お引越しのタイミングだったんですね」
「いいえ。正確に言うと、付き合っている女性と別れる予定なので、という現状が先立ちますが」
別れる予定って、まだ別れてないってこと? 彼女は他の誰かとの同棲を厭わないの?
それに、参加条件に合わないはずだけどな……。