溺愛CEOといきなり新婚生活!?
心配していた生理的に受け付けないタイプではないとしても、なかなか出会えない大社長が相手だとしても、こんな棘のある会話から同棲が始まったら、楽しく過ごせるわけがない。
そもそも、これは実験的同棲なんだし、私には未来を決めた彼がいる。
永井さんだって、私と生活をしたくて参加しているわけじゃない。
――これって無理に続ける必要があるの? 雅哉さんにも事情を話せばわかってくれるはず。
「申し訳ありませんが、このお話はなかったことにしたいです」
私はそう言ってソファから腰を上げ、傍らに置いていたバッグを持った。
「契約違反は、違約金が発生しますよ」
「えっ⁉︎ そんな話、聞いてません」
「あなたの場合、上遠野さんの大切な方にご請求させていただくことになるかと」
おもむろに立ち上がった彼は一歩ずつ私に近づいて、長身から見下ろしてくる。
「本当に彼のために参加されたなら、俺と暮らしてみませんか?」