溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「わかりました。……それで、私は何をしたらいいの?」

 手を合わせる彼がまるで神頼みしているようで、とうとう折れてしまった。
 私が恋人に尽くしてしまうタイプだと知っているから、こうして頼み込んできたのだろうと気付いたのは、打ち明けられた内容に、すぐに後悔したからだ。
 雅哉さんが両手を合わせてまで頼んできた内容を聞いている間、納得も理解もできず疑問だけが湧き続ける。

 それは、『サンプリングマリッジ』というものだった。
 初耳だったけれど、簡単に言うと結婚相談所が主催する『実験的同棲観察』の企画らしい。

 鳳凰堂がその結婚相談所の広告を手掛けていて、応募者が予定数を大幅に割っているから協力してほしいと彼に依頼があったそうだ。
 それもそうだろう。こんな企画、簡単に参加を決意する人がいるなんて思えない。
 だけど、条件を私が難なくクリアしているというだけで、彼は両手を合わせてきたのだ。



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