溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 楽しい時間は早く過ぎるもので、気づけば日付が変わろうとしている。


「お互い明日は仕事だし、早めに寝よう」
「はい」

 大きなベッドに並んで横たわると、彼は布団の中でそっと手を繋いできた。


「花澄」
「なんですか?」
「キスをして眠りたいけど、今日はたぶん抑えられなくなると思うから、手だけ繋がせて」

 抑えられなくなるって……永井さんの本心はどこまで信じればいいんだろう。
 七瀬さんの存在を思い出すと、薬指の誓いのキスが途端に切なくなる。

 だけど、私の気持ちもいつまでも秘めてはいられない。
 毎日顔を合わせているからこそ、思いが募っていくのは目に見えている。

 サンプリングマリッジはいずれ終わってしまうのだから、せめて一緒にいる間だけでも……。




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