溺愛CEOといきなり新婚生活!?
翌朝、チェックアウト前にホテルを後にすると、リムジンで社の近くまで送ってもらった。
なんという贅沢な出勤だろう。誰かに見られたら質問攻めに遭って、さらに噂の的になること間違いなし。
「それじゃ、また今夜。仕事頑張って」
「はい。行ってきます」
下がったウィンドウから顔を覗かせて小さく手を振る永井さんは、悠々とリムジンで会社の方向へ向かっていった。
本当に騎士とデートをしたみたいだ。
一線を越えることなく、事あるごとにキスをして……大切に扱ってもらえた自覚がある。本当に彼が私を好いていてくれると、自惚れてしまいそうだった。
リムジンを下りた私は、ごく普通のOLに戻った。会社周辺はオフィス街のコンクリートだらけで現実を見せつけてくる。
夢のような時間に戻りたい。
昨日彼が用意してくれていた服と右手の薬指に、名残惜しさを感じた。