溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「どうしたの? 浮かない顔をして」
雅哉さんと話し終えた私がリビングに戻るなり、永井さんは遠慮なく尋ねてきた。
「サンプリングマリッジ、三ヶ月後までやります」
「あんなに帰る気満々だったのに、どうして?」
「……終わったら、彼と結婚前提で同棲をする約束をしたからです」
甘いと言われたばかりだ。どうせまた呆れられるのだろう。今日出会ったばかりの見ず知らずの人に、どうしようもない女だと思われるのかもしれない。
それでもいい。だって、私が求めていた雅哉さんとの結婚が目前に迫っているのだから。
たった三ヶ月、この人と生活を共にして、同棲というものがどんなものなのか知るだけ。社会勉強のようなものだ。
「そう。よかったじゃない。じゃあ、改めてどうぞよろしく」
永井さんは穏やかな表情を変えることなく、ソファに座ったままで私にそう返した。