溺愛CEOといきなり新婚生活!?
お昼を過ぎ、空腹を感じてキッチンに立つと、永井さんも自然と隣に立った。
六畳はあると思われるアイランドキッチンで手を洗っていると、彼は飾り気のないステンレスシルバーの冷蔵庫から野菜を取り出した。
「永井さんは、こういうお部屋で生活されるの、慣れてますよね?」
「まぁ、どちらかと言えばね」
平凡なOLの私にはとても手の届かない豪勢な生活が、永井さんには似合う。肯定されて羨ましくなったけど、彼なら納得だ。
この部屋は五つも居室があって、永井さんは数日前からこの部屋で暮らし始めていたらしく、十五畳の洋室を使っている。私も自由に使っていいと言われて、十二畳の洋室を選んだところだ。
残りの三部屋は彼の衣装部屋と空室が二つ。使っていない部屋がある時点で、贅沢としか言いようがない。
「次に暮らす部屋は三ヶ月もすれば引き渡しになるので、よかったら上遠野さんも是非遊びに」
「結構です」
「それは残念」
ちゃんと彼女と別れきれてないくせに、いったいどういう心境なんだろう。
もし私が永井さんの彼女だったら、別れることに納得していないうちから他の人と同棲するなんて許せない。