溺愛CEOといきなり新婚生活!?
私なんてライバルとも思ってないんだろうな。
一度は愛し合った時間があるだけ、二人の関係は深い。
それに、永井さんも「上手く愛せなかった」って……後悔してるってことだもん。
でも、私に言ってくれた想いを信じたい。永井さんはそんな人じゃないって思うから。
今朝抱きしめてくれたあの時間に、嘘はないと感じられた気がして――。
「七瀬さん」
「はい」
私の席を離れようとしていた彼女を引き止める。
「私、七瀬さんみたいに素敵な人にはなれないかもしれないけど、永井さんを好きだって気持ちは負けません」
「……そう。それはとてもいいことね」
「七瀬さんが今でも永井さんを好いていても、絶対に負けたくないんです」
ハッキリと告げる私の両手は、勇気を出して心の内を明かす時の癖が出て、相変わらず拳になっている。