溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「海都はああいう人だから人が寄ってくるし、彼の財産を目当てに交際を申し込む人だって後を絶たないの」
「分かってます。そういう話を聞いたわけじゃないですけど……」

 最近別れた彼女だって、そうだと聞いた。でも、彼の周りにどれほどの人脈があって、女性が集まってしまっているのかは見聞きしたことがなかった。


「彼は誠実な人だから浮気なんてしないって分かってても、耐えられなかった。彼を疑ってしまう自分が嫌だった」

 切なそうな七瀬さんが、ふと表情を崩して笑顔を見せた。


「私がこの前あなたに冷たくしたのは、その時の自分を見てるような気がしたからだと思ってたけど、そうじゃなかったみたい」
「…………」

 通りのいい声が少し弱々しく聞こえ、私は彼女を真っ直ぐ見上げる。
 夢のために永井さんとの恋に終止符を打ったその時を思い出しているのだろうか。


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