溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「少し歩こう」

 永井さんが差し出してくれた手のひらに躊躇なく手を置く。
 身体中がむずむずするくらい嬉しくて、思わず笑みがこぼれた。


「花澄が笑ってくれると、本当に幸せな気分になるよ」

 優しく繋いでくれた手を引いて歩く永井さんの横顔に見惚れてしまう。
 穏やかで、でも凛々しくて……こんなに素敵な人の隣に私がいていいのかと、やっぱり弱気になってしまう。


 通りすがる女性たちが、彼の美しさに目を奪われ息を飲む。
 永井ホールディングスのCEOと知っている人は、まるで有名人を見たような目で私たちを見た。


「永井さん、やっぱり手は繋がないほうがいいかと……」
「どうして?」
「だって、永井ホールディングスのCEOと平凡なOLがこうして歩くなんて、人目に付くっていうか」
「俺と歩くのがそんなに嫌?」

 そうじゃないと首を振って見上げると、彼はにこっと口角を上げて微笑んだ。


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